『光の帝国 常野物語』 恩田陸ー短編集だからこそ出せる恩田陸ワールド集
#大衆小説 #現在 #日本 #常野一族 #不思議な力 #短編集 #恩田陸ワールド #ファンタジー
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10月7日の一冊
不可思議な面白さが好きな方
恩田陸ってどんな作家か知りたい方
恩田陸は好きで、好きな話がいっぱいあるけど、読み直す時間はあまりない方
に贈りたいと思います。
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*短編一覧
大きな引き出し
二つの茶碗
達磨山への道
オセロ・ゲーム
手紙
光の帝国
歴史の時間
草取り
黒い塔
国道を降りて・・・
*あらすじ(ネタバレなし)
常野という特殊な能力をもった一族のそれぞれ異なるキャラクター(一部重複する部分もある)の全10編の短編集。「常野」には、常に野にあれ、という意味があるそうです。
恩田陸作品の中でも極めて初期の作品です。
作者のあとかぎで
その都度違うキャラクターでという浅はかな思い付きを実行したために、手持ちのカードを使いまくる総力戦になってしまった
と記されていました。
恩田陸作品は、覚えていないものもありますが、一通り読んだ一読者としても納得。
草取りは、「消滅」に似ているし、「国道を降りて…」は、直木賞作品「蜜蜂と遠雷」へと流れていく系譜だと思いました。後の長編のエッセンスがつまっているような短編集。
春田一家の連作にしてもよかったという「大きな引き出し」や
独立した長編で考えられていたという「オセロ・ゲーム」や「光の帝国」、
4人の少女の神隠しの話のプロローグとなるエピソードとして予定していたという「達磨山への道」
少女たちが神隠しにあうまでの話や、拝島瑛子が夫を取り戻す話、光紀や亜希子が大きな仕事をやりとげる話
は、別の機会にかいてみたいとあとがきで作者が記していたので、
常野シリーズの、残り2作品も読み直してみようと思います。
https://books.shueisha.co.jp/search/search.html?seriesid=47145&order=1
初期の、はかなげで危ない少年、少女の話もいいけど、どこか不思議な力をもっている人物たちの話というのも面白いと改めて思いました。
「光の帝国」は、悲しい話ではあるけど、ラストの「国道を降りて…」で救われているし、短編だから出せる物語の断絶と連続だと思います。
恩田陸ワールドの不可思議さが前面に出ているのは、「大きな引き出し」、「二つの茶碗」、「達磨山への道」の前3編かなと思います。
この短編集を読むと、やはり、管理人は、恩田陸が好きだとまざまざと感じました。この機会に、恩田陸作品を読み直していこうと思います(ああ、積読リストがまた増える…。)
⇩過去に紹介した恩田陸作品
taria-voraciousreader.hatenadiary.com
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