「スキマワラシ」 恩田陸ーつぶつぶしたピオーネの粒の集まりみたいな
#大衆小説 #現在 #日本 #男兄弟 #物の記憶がたどれる #古物商 #スキマを楽しむ #つぶつぶした感じ #直木賞作家作品
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12月10日の一冊
恩田陸さんが最近気になるエッセンスが凝縮されている一冊を読み方
長くてノンストップみたいな長編は読みづらいけど、短編よりも長編が好きな方
ちょっと空恐ろしい感じがたまらなく好きという方
に贈りたいと思います。
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「スキマワラシ」 恩田陸 集英社 p472 2020.08.05発売 1800円(税別)
*あらすじ
主人公は、古道具屋を営む兄と、兄の仕事を手伝うかたわら、古道具屋の店内でバーを開いている弟。祖父の代からの「纐纈工務店」の屋号で活動する二人には秘密があった。弟は古い記憶を持ったモノに触れると、その思念を読みとることができるのだ。それはまれに訪れる制御不能のものだったが、あるとき、古いタイルに触れて現れた幻視が亡き両親に関わるものだと直感する。
タイルが持つ記憶を追いかけるうち、二人は家族に秘められた謎に向き合うことになる。そして、彼らの視界を横切るスキマワラシとは一体何者なのか。
*感想
ああ、長い、読み終わんない。ってなっていた一冊でしたが、思いのほか、早くはないけど、なんとか読み切れてよかったです。
というのも、長編で構成されてはいるのですが、何章にもわかれているので、読んでも読んでも進んだ感じがしなかったというのが大きかったです。でも、ちゃんとつながっているところに、作者の器の大きさを感じます。
恩田陸大好きな管理人が、行儀よく図書館で順番待ちをして手に入れた一冊。長かった。
やっぱり、作者は少し、背筋がせまくなるような、怪談、ホラー、ミステリーと現実の間を描くのが、得意なんだなと再確認しました。
特に、本作は、全部語りきる前に読者に提示する要素、エッセンスの、絶妙な空白、スキマが、読者の想像をかきたてる仕様になっていて、そういう意味でもタイトルにぴったりな一作です。
そして、自分が知らない、建築や美術、古美術などの話が盛りだくさんにちらばっているのも読んでいて、心地よかったです。
疾走感がある恩田陸作品も好きですが、ふわふわ飛んでるように話が進みながらも、振り返ってみると、あれ、最短距離だったんだな、という不可思議な感じの作品も最近は多いので、その作風が、ようやく馴染んできた感じがします。
小学生の時に、この作家さん、大好き!ってなった思い入れのある作家さんです。年齢を調べて、自分より、(当たり前ですが、)大人と子供ほどの差があると知った時に、いつか生きているうちにこの人の新作が読めなくなるなんて耐えられないと思った作家さんなので(どんな感想なのよ、小学生の私)
これからも追いかけていこうと思います。
過去の恩田陸作品の紹介記事はこちら⇩
taria-voraciousreader.hatenadiary.com
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本作を、読んでから読まれるととても面白い、作者の対談記事もはっておきます。