「13階段」高野和明ーこたつでの一気読みにおすすめ。
#推理小説 #現在 #日本 #冤罪事件 #殺人事件 #死刑制度 #再審請求 #新証拠を探す #江戸川乱歩賞
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12月3日の一冊
- 説明臭くはないけど、死刑制度や死刑執行について核心にせまった解釈説明があるので、理解が深まる。そういうものを垣間見てみたい方
- 時間という期限がある中で、疾走感のあるミステリー小説が好きな方
- お約束だけど、お約束でないどんでん返しが好きな方
に贈りたいと思います。
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*あらすじ
犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。
*感想
年末年始にこたつに入って一気に読むのがいいかなと思います。寝る前に読むには、いろいろ考えてしまうので、なかなか話も進みませんし、あんまり向かないのかなという印象です。
W主人公の一人、南郷の三上への信頼が厚く、三上の前科を考えると、そういう人物に出会えること自体が、この先の三上の人生の中で数少ないことのような気がしました。有難い存在な気がしました。
人の命を奪うというのは、本当に想像を絶することなので、余りあるので、以下は、あくまで私の想像が及ばないという話です。
作中でも触れられていたのですが、3人以上殺害すれば、死刑判決が下るという判例法理からすれば、それだけの人数の殺害は、自らの命を殺すこととイコールだというのは、わかるようなわからないようなことだなと思いました。つまり、殺害行為の際にそのような想像までめぐる人は、皆無なのではないしょうか。だからこそ、自分は死にたくはないけど、そういう事件が起きるのかなとも思いました。
感情面の描写がくどくないので、そういう意味での純粋な推理小説として、楽しめると思います。
後半に入ってからは、私は一気に読み進めました。
作者の処女作ということですが、話のあらすじ、証明の挿入の仕方は、本当に、処女作とはとても思えない素晴らしさだったと思いました。ラストの幕引きの後の後日談のさらっとさが、処女作らしいといえばらしい部分なのかもしれません。