タリアから、あなたに贈る1冊

余りに、活字中毒過ぎて、読もうとした本が昔読んだことがあるということがしばしばあることから、備忘録をつけたいと思ったのがきっかけ。 ただ、ああ、この本にもう少し早く出会えていればと思ったことも多かったので、この時期のあなたにはおすすめしたい、過去の、未来の私に代わる誰かへの紹介も込めて。 そして、忙しく精神的につらかったときに、刺激の強い本を読めるタイミングがなく、その時の自分でも読める本が欲しかった。でも、そんな都合のいい情報にはなかなか出会えず。 そんな、少し前の私のような、いまにもあふれそうな水盆を

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「13階段」高野和明ーこたつでの一気読みにおすすめ。

推理小説 #現在 #日本 #冤罪事件 #殺人事件 #死刑制度 #再審請求 #新証拠を探す #江戸川乱歩賞

 

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12月3日の一冊

  •  説明臭くはないけど、死刑制度や死刑執行について核心にせまった解釈説明があるので、理解が深まる。そういうものを垣間見てみたい方
  •  時間という期限がある中で、疾走感のあるミステリー小説が好きな方
  •  お約束だけど、お約束でないどんでん返しが好きな方

                                                               に贈りたいと思います。

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13階段高野和明 講談社文庫 文庫本 p400 

 

13階段 (講談社文庫)

13階段 (講談社文庫)

  • 作者:高野 和明
  • 発売日: 2004/08/10
  • メディア: 文庫
 

 

*あらすじ

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。

 

*感想

年末年始にこたつに入って一気に読むのがいいかなと思います。寝る前に読むには、いろいろ考えてしまうので、なかなか話も進みませんし、あんまり向かないのかなという印象です。

 

W主人公の一人、南郷の三上への信頼が厚く、三上の前科を考えると、そういう人物に出会えること自体が、この先の三上の人生の中で数少ないことのような気がしました。有難い存在な気がしました。

 

人の命を奪うというのは、本当に想像を絶することなので、余りあるので、以下は、あくまで私の想像が及ばないという話です。

作中でも触れられていたのですが、3人以上殺害すれば、死刑判決が下るという判例法理からすれば、それだけの人数の殺害は、自らの命を殺すこととイコールだというのは、わかるようなわからないようなことだなと思いました。つまり、殺害行為の際にそのような想像までめぐる人は、皆無なのではないしょうか。だからこそ、自分は死にたくはないけど、そういう事件が起きるのかなとも思いました。

 

感情面の描写がくどくないので、そういう意味での純粋な推理小説として、楽しめると思います。

 

後半に入ってからは、私は一気に読み進めました。

作者の処女作ということですが、話のあらすじ、証明の挿入の仕方は、本当に、処女作とはとても思えない素晴らしさだったと思いました。ラストの幕引きの後の後日談のさらっとさが、処女作らしいといえばらしい部分なのかもしれません。

 

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