2020.09.16 「営繕かるかや怪異譚 その弐」ー不可思議な怖さ
#小野不由美 #営繕かるかやシリーズ #不可思議で恐ろしい #晩夏っぽい
「営繕かるかや怪異譚 その弐」 小野不由美 角川書店 単行本 p322
*あらすじ
事故で死んでしまった三毛猫の小春。ある時息子が裏の空き家から小春の声がするといい…。「まつとし聞かば」など、住居にまつわる怪異を営繕屋・尾端が鮮やかに修繕する全6篇を収録。『幽』『怪と幽』掲載を改稿し単行本化。
短編一覧
芙蓉忌 関守 まつとし聞かば 魂やどりて 水の声 まさくに
短編集が好きなわけではないけど、自分が仕事に、忙殺されていた時期の本棚は短編集が多いです。意図して購入したわけではないと思うけど、結末が早く知りたかったのかな。
営繕やさんシリーズ第2弾。今回は、営繕やさんが、壱と異なり、そこまで前面にはでてこなかった印象です。
⇩壱はこちら
本書を読んで、一番ひやひやしたのは、魂やどりて。
この編の、主人公育の、古家リフォームが、道具を使うべき方法で使わずに、他の場所に使うというのが、なんとも、罰当たりな気がしてひやひや。それが災厄を呼ぶ結果に…。
同じ長屋の住人の、面倒見のよさが救いです。
怖さがなんとなく、よくわかると思ったのは、関守。
幼少期、学校裏に本当に小さな神社があって、そこのお稲荷さんの前を、夕方通るのが怖かったのを思い出しました。茜色のおいなりさんが、昼間より、目がつりあがってみえて、何となく怖い。
それと似たような感覚がしました。早く帰れ、そういわれているような気持ち。
小野不由美さんは、このタイプの不可思議な怖さを描き出すのが味わいの作家さんだと思います。(「屍鬼」は、普通に怖いと思いますが、)
小説の技法を確立して、承継することにも熱心だとお聞きしたことがあり、それも興味深いです。
真夏より、晩夏、あるいは初秋くらいの雰囲気のある、すこし怖い、そして、ちょっと不可思議な短編集です
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9月16日の一冊は、
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ちょっと怖いけど、怖すぎない話がよみたい方
- 終りが早めに知りたい方
- 怖さでいうと不可思議な怖さが味わいたい方に
タリアより
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