『あしたの華姫』畠中恵ー時代小説だから出せる温かさ、さわやかさ
#時代小説 #江戸時代 #腹話術 #姫様人形 #芸人 #親分 #友情 #お悩み解決
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11月30日の一冊
- 無欲な主人公が好きという方
- 女の子同士の巧妙な会話の掛け合いが好きという方
- なぞかけのようなトラブルを解決して、最後には前を向いていくような前向きになれる話が好きな方
に贈りたいと思います。
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*あらすじ
姫様人形と人形遣い、お江戸で人気の名コンビが帰ってきた!
江戸は両国の見世物小屋で評判の、姫様人形・お華と、その遣い手の月草。月草が声色を変えてしゃべっているはずなのだが、「お華には特別な力がある」「真実を語る」ともっぱら噂だ。両国一帯を仕切る地回りの親分・山越も、娘のお夏を助けてくれるお華には一目置いている様子。ますます栄える盛り場だったが、山越が縁を切ったはずの息子たちが姿を現したせいで、にわかに跡取り問題が持ち上がる。江戸一の盛り場である両国を、次に取り仕切るのは誰なのか? 急に現れた息子たちを不審がる両国の人々は、両国の将来がかかっていると、娘・お夏の婿取りに注目し――。陰謀渦巻く両国で、月草はお夏を守りきれるのか? 一人二役、二人で一人、月草とお華の謎ときが始まる!
*感想
畠中恵さんといえば、有名なのは「しゃばげ」シリーズ、このシリーズも好きなのですが、最近発売された本が読みたいと思って図書館で借りました。しかし、これは2巻とはかいてはないものの、華姫シリーズの2冊目だったみたいです。
主人公月草と、月草の腹話術によって話しているようにみえる、かわいい女の子の声で話すという華姫の掛け合いも面白く、華姫と仲の良い、盛り場の親分、山越の一人娘お夏ちゃんとの会話もとても楽しいです。
最初がお夏とお夏の亡くなったお姉さんとの、会話ではじまります。つかみがさわやかで、時代小説特有のとっつきずらさもなく、読みやすかったです。
謎も、うーん、と悩むけど、最後にはなるほど!と解決されるのがちょうどよい感じです。
主人公の月草が、俺はお華と日銭を稼ぐから、という風に、お金に対して無頓着なのも好感が持てます。
故郷から離れた根無し草のような人々が集まる場所で、家族のように支え合い、暮らしていくのが、なんとも温かく、明るく前を向ける素敵な話でした。
月草の過去や、親分の跡継ぎ問題など気になる要素はまだまだあるので、続きが気になる一冊です。