タリアから、あなたに贈る1冊

余りに、活字中毒過ぎて、読もうとした本が昔読んだことがあるということがしばしばあることから、備忘録をつけたいと思ったのがきっかけ。 ただ、ああ、この本にもう少し早く出会えていればと思ったことも多かったので、この時期のあなたにはおすすめしたい、過去の、未来の私に代わる誰かへの紹介も込めて。 そして、忙しく精神的につらかったときに、刺激の強い本を読めるタイミングがなく、その時の自分でも読める本が欲しかった。でも、そんな都合のいい情報にはなかなか出会えず。 そんな、少し前の私のような、いまにもあふれそうな水盆を

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「昨日がなければ明日もない」宮部みゆきー面白さに読後感はいれるべきなのか

#ある意味推理小説 #現在 #独身(離婚した)男 #私立探偵 #元逆玉婚 #相談から事件に発展 #杉村三郎シリーズ 第5弾

 

 

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9月21日の一冊

  • 主人公は穏やかな人柄の私立探偵がよい方
  • 地域やご近所さんとのつながりがある話がよい方
  • 読後感がすこぶる悪しでも耐えられる方(第一編に関しては特に)
  • それでも、ミステリーすぎないミステリーに現実でもあり得るかなと思える程度で関わる主人公がよい方

                                                                                                     に贈りたいと思います。

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「昨日がなければ明日もない」宮部みゆき 文藝春秋 p396 単行本

昨日がなければ明日もない

昨日がなければ明日もない

 

 

杉村三郎シリーズ第4弾、希望荘の紹介記事はこちら⇩

 

taria-voraciousreader.hatenadiary.com

 

以下の中編3編よりなる私立探偵となった杉村三郎氏を描いた作品。

『希望荘』以来2年ぶりの杉村三郎シリーズ第5弾となります。中篇3本を収録する本書のテーマは、「杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち」。自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザーを相手に、杉村が奮闘します。 収録作品――あらすじ―― 「絶対零度」……杉村探偵事務所の10人目の依頼人は、50代半ばの品のいいご婦人だった。一昨年結婚した27歳の娘・優美が、自殺未遂をして入院ししてしまい、1ヵ月以上も面会ができないままで、メールも繋がらないのだという。杉村は、陰惨な事件が起きていたことを突き止めるが……。 「華燭」……杉村は近所に住む小崎さんから、姪の結婚式に出席してほしいと頼まれる。小崎さんは妹(姪の母親)と絶縁していて欠席するため、中学2年生の娘・加奈に付き添ってほしいというわけだ。会場で杉村は、思わぬ事態に遭遇する……。 「昨日がなければ明日もない」……事務所兼自宅の大家である竹中家の関係で、29歳の朽田美姫からの相談を受けることになった。「子供の命がかかっている」問題だという。美姫は16歳で最初の子(女の子)を産み、別の男性との間に6歳の男の子がいて、しかも今は、別の〝彼〟と一緒に暮らしているという奔放な女性であった……。

  引用元サイト:『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき | 単行本 - 文藝春秋BOOKS

 

 

上記引用サイトにのっている、宮部みゆきとの対談((5ページ目)宮部みゆき 『昨日がなければ明日もない』&『希望荘』刊行記念インタビュー #2 シリーズ累計300万部突破! | インタビューほか - 文藝春秋BOOKS)の中でインタビュアーが触れるように、絶対零度はかつてないほどの後味の悪さでした。希望荘の雰囲気が続くと思っていたら、出だしからフライパンで殴られた感じです。

 

 

気がめいっているときなどに読んでしまうと、本当にしんどくなりそうなくらい、、、。刊行時に施行されていた刑法にいう集団強姦罪がでてくるので、苦手な人は無理に読まない方がいいかもしれません。

なんで、作者がこんな作品を書いたんだろうと、思っていたのですが、対談を読んで、杉村氏が洞察力、観察眼に長けた探偵へと成長するためのステップなんですね、、、。にしても重たい。

 

 

あらすじ紹介はいつも自前でがんばるのですが、今回ばかりは無理と思ったので引用させていただきました。

 

 

本の面白さを説明するにあたって読後感をどこまで考慮するかは悩ましい問題です。

正直、絶対零度は、3編の中で一番、引き込まれました。読み終わるスピードも速かったと思います(買い物にいく予定を繰り下げて、読書に時間を割いたくらいに)

ただ、読み終わった後もしばらく動く気になれませんでした。登場人物の誰の心に寄り添っても、憎悪、怒り、あきれ、やりきれなさ、悲しみ、無力感、そういう感情しかわいてこない。

これはあまりに、毒気が強すぎたのかもしれません。

 

 

華燭は、この単行本の箸休め的な話なんだと思います。ただ、中学生の加奈ちゃんが、親戚関係がなかったといえ、叔母さんから結構ひどいセリフをはかれるシーンがあります。杉村氏は、いままで、自分の娘桃子ちゃんと散々重ねておきながら、一人の大人へのなぐさめとおなじようなセリフしかはかないことに、ちょっと当惑。男親だからなのか、口下手なのかもしれませんが、やっぱり鈍感なんだなと思わずにはいられませんでした。中学生の女の子が人生であびた毒気なんて、まだ、ほんの少しで、ティーンだなんでいっても、小学生にちょっと毛のはえた程度なのでは、とやはり少し疑問です。(登場人物の言動に感情が動かされている時点でかなりこの話に引き込まれてしまっている証なのですが、、、)

 

 

昨日がなければ明日もないは、本の表題ともなった話です。美姫の娘、漣の毒気、横暴なふるまいのようなものが伝聞でしかでてこないのが、最初は、母親に比べれば大したことないということなのかとも思いました。しかし、裏を返せば、杉村氏のような自分にはかなわない大人の男の人には、小さく丸まり、元義理のお父さんのように自分に引け目を感じ、また、すがれば構ってもらえる相手には、ねばちっこく接するあたりが母親そっくりなのかなとも思いました。三紀のような姉をもった、妹はどうするのが、正解だったんでしょうか。やはりラストがやるせないですー。

 

 

 

最後に、そろそろこのブログも、なんとか更新が続けられ、紹介冊数が増えてきました。また、ありがたいことに累計閲覧者数も100人を超えました。管理人は、これからもこのブログを通じて、みなさんにほしい一冊を届けるべく、更新を続けるつもりです。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

ただ、一日一冊を紹介するだけでなくできれば、好みがこういう人はこの本が好きというのをわかりやすくするために、複数人の対談形式で、2週間に1度くらいまとめを作ろうかと思っています。

対談メンバーは、本の好みが完全に分かれている私の知り合いに協力してもらうつもりです。

お楽しみに!

 

 

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