タリアから、あなたに贈る1冊

余りに、活字中毒過ぎて、読もうとした本が昔読んだことがあるということがしばしばあることから、備忘録をつけたいと思ったのがきっかけ。 ただ、ああ、この本にもう少し早く出会えていればと思ったことも多かったので、この時期のあなたにはおすすめしたい、過去の、未来の私に代わる誰かへの紹介も込めて。 そして、忙しく精神的につらかったときに、刺激の強い本を読めるタイミングがなく、その時の自分でも読める本が欲しかった。でも、そんな都合のいい情報にはなかなか出会えず。 そんな、少し前の私のような、いまにもあふれそうな水盆を

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2020/09/19の一冊 「約束の海」山崎豊子ー未完の完結

#大河小説 #平成初期 #自衛隊の潜水艦 #自衛隊基地 #自衛官 #潜水艦乗組員 #衝突事故 #戦争とは #平和とは #未完の完結

 

 

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9月19日の一冊

  • 海上自衛隊、潜水艦に興味のある方
  • 平成初期ってこの空気だったよねと思いたい方
  • 上司と部下、同期の濃い人間関係が読みたい方
  • もどかしいけど素敵な恋が読みたい方
  • 責任、仕事、戦争、平和について考えたい方

                                                                  に贈りたいと思います。

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「約束の海」 山崎 豊子 新潮社 p436

約束の海(新潮文庫)

約束の海(新潮文庫)

 

 

 

海上自衛隊の潜水艦と釣り船が衝突。若き乗組員・花巻朔太郎二尉は苛酷な試練に直面する。その父は昭和16年、真珠湾攻撃時に米軍の捕虜第一号となって-。時代に翻弄され、時代に抗う、父子100年の物語が、いま始まる。

 

 

本の紹介文が、始まるで、終わっているからといって、まさか、始まったまま終わるとは思わず、最後のページを何度もめくってしまった本です。

未完だと知っていると読まなかったのかもと思うと、複雑な気持ちもしましたが、未完であることを知り、読むのをやめようと思ったそこのあなたにこそ、読んでほしい一冊です。

 

 

この作品が未完なのは、作者山崎豊子氏の遺作であるためです。作者自身、病床で完成しないことが、わかりながら、したためた作品であることを知ると、読了後に、そこまでして伝えたかったメッセージは何なのだろうと考えずにはいられません。

 

 

読み終わった本があると、言うと、その本を通して、作者は何が言いたかったの?

と、きかれることがありますが、小説は特にですが、必ずしもメッセージ性が必要であるとは思わないので、私は、作者のメッセージや意図を考えることは普段はあまりありません。作者のメッセージがあるとして、それを登場人物が言語化して伝えてくるのは、正直、押し付けられているとも思うので、個人的にはあまり好きではありません。

登場人物が苦悶したり、反発をおぼえたりするような出来事の中にメッセージがあり、それに対して自分が思うことがある場合には、メッセージを受取ったなと思うことがあります。

 

 

抽象的で本ブログの読者の方にどこまで伝わっているか不安ではありますが、本作品は、上記のまれに受け取るメッセージが伝わってくる作品だと思います。

 

 

作者が身まかられている以上、未完であるが完結ではあるので、先ないことであるのは承知で、本当に続きが読みたかったです。心より、お悔やみ申し上げます。

 

 

また、登場人物の性格個性も様々で、複雑で、とてもリアルです。恋愛要素もありますが、ふわふわと宙に浮いたような恋愛ではなく、朔太郎の恋の相手がしっかりしている人物なので、とても好感がもてました。

 

 

本をお勧めするというのでは、これで十分なような気がしますが、後日、もう一度読み込み、ネタバレありの感想としても記してみたい一作です。

 

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